2015-01-01から1年間の記事一覧

禍根を残した「従軍慰安婦問題の妥結」

今回の合意は、日韓両国の話し合いの結果に至った国民納得ずくのものではなく、アメリカの強引な仲裁の結果である表層的な手打ちにすぎす、本質的な解決には程遠いだけではなく、それはのちのち大きな災いとなって跳ね返る可能性がある。 アメリカは、ヨーロ…

レオナルド・ダ・ヴィンチの「天才性」について

●そもそもダ・ヴィンチは「芸術家」としての美術史上における地歩は、実はそれほどのものでもない。同時期の芸術家としては、彼はミケランジェロやラファエロなどの錚々たる専業芸術家と比較すれば、作品の質、量ともにかなり見劣りがする。●ダ・ヴィンチは…

メリットとベネフィット

メリットとベネフィットの違いは、たとえば新幹線のメリットが「東京から大阪まで三時間足らずで着く」であるとすれば、そのベネフィットは「すぐに会いたい人に会える」ということである。消費者の頭の中で、メリットとベネフィットが結び付かないことがあ…

最後のよすがは「自分」

定量的なエビデンスがないと物事を信用しない人は、重要な物事ほど多数決で決めてはならないことがわかっていない。例えば、自分の人生を左右するような決断を下すときに、100人にアンケートとってその結果に従おうという人がいるだろうか。自分の人生を左右…

バカという方がバカだ

「あいつはバカだ」という発言は、ほぼ「あいつが嫌いだ」と同義である。「嫌い」という絶対的感情を、「バカ」という相対的な評価にすり替えて、自分をごまかし、相手をあざむこうとしているのであり、そういう欺瞞に気づかないこと自体、発言者が「バカ」…

大切なものは、たいてい無料である

人生において、本当に重要なものは、たいてい目に見えないものであり、そして無料で与えられる。これが得られないと、人は目に見える有料なモノで穴埋めしようとするが、その空隙は並大抵のモノでは埋まらない。かくして心に空虚なものを抱えている人ほど、…

感情と論理

たとえどんなに乱暴な言葉をつかっても相手に好意を持っていればそれは伝わるし、たとえどんなに慇懃な言葉づかいをしても相手への敬意を欠けばそれは伝わる。人間の感情は、つねに態度や行動として表出するもので、論語の「人いずくんぞかくさんや」という…

他人という地面

つらいことや苦しいことがあったら、それを誰かに言ってみるといい。それで何かが解決したり治ったりするわけではないが、少しは荷物の重さを減らすことができる。人に話すことになぜそういう効果があるかというと、苦しみが出口を失っているときに、他の人…

地獄の釜の蓋

吉祥寺の繁華街で、道ゆく人々のあかるい笑顔を見ながら、今ここで爆発や銃撃戦が起きたら、どういうシーンが展開するだろうか、と考えた。穏やかな日常の時間の流れに、突如地獄の釜の蓋が開いたようなあんばいになり、阿鼻叫喚の光景が現出されるだろう。…

独裁者のパラドックス

えらい人がなにかいうと内容の是非はそっちのけにして「とにかくなんかしなくちゃ」とシモジモがあわてふためくさまは、みっともないというかバカバカしいというか、まあ大きな組織にはわりとよくある風景だが。1億総活躍:緊急対策に批判続出http://mainic…

平和のための戦争

例えばAさんが誰かからひどい恨みを買ったとして、その誰かは自分の命がどうなろうとAさんを殺したいと強く念じ、行動にうつしたとしたら、地下室にこもって一歩も外出しない覚悟でも決めないかぎり、Aさんが生き延びる可能性はほとんどない。 Aさんはつけ狙…

試論:同性愛について

「性同一性障害」と「同性愛」を比べると、後者の仕組みの方が複雑だ。それは前者が煎じつめれば「生まれながらの肉体と精神のアンマッチ」で言い切れるのに比べ、後者には、より深い個人的・社会的事情、おるいは文化的・歴史的背景が、からみあっているか…

テロリストとは「戦えない」

「強い衝撃」と「怒り」をあたえたいテロリストの思う壺にはまっている間抜けさに気づかないぐらいだから、日本で同じことが起こったら自分のせいだということにもたぶん気づくまい。 「強い衝撃と怒り」安倍首相がテロを非難 http://headlines.yahoo.co.jp/…

効率性と合理性

ホリエモン「寿司職人が何年も修行するのはバカ」発言http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151102-00000004-jct-soci … 物覚えのいい人は忘れるのも早いのと同段で、修業時代が短いと辞めるのも早くなる。修業時代を長く設定するのは、それを一生の仕事にす…

御しがたいイスラム国と、御しやすい中国

イスラム国とシリアは裏で手を結んでおり、ロシアはシリアを援助する立場だが、そのロシアの旅客機を墜落させるとは、イスラム国も誰が敵で誰が味方か混乱しているということなのだろうか。ロシア旅客機が墜落、224人全員が犠牲か IS系声明 http://www.…

戦争好きと戦争嫌い

キューバとの国交回復にしても、イランへの制裁解除にしても、中国への示威行動にしても、大風呂敷を拡げただけで結局なにも「変え」られずにここまで来てしまったオバマ氏が、夏休みの終わり間際になって泥縄で宿題を片づけている小学生よろしく、お体裁だ…

下重暁子「家族という病」の新聞広告を眺めて

「崩壊した家庭に育ち、家庭生活も破綻させた自分は、幸福な家庭の存在を許すことができない」というルサンチマンをぶちまけた自伝的エッセイであり、普遍的な家族論ではない、と考えた方が当たってそうな本。お釈迦様は「人生は一切苦だ」といったが、人間…

無常といふ事

ひさしぶりに小林秀雄の「無常といふ事」を読む。この文章を初めて読んだ(というか眺めた)のは今から三十年ぐらい前のことで、それ以来何べん読んだか知らない。この文章を読むのに費やした時間を世界文学全集の読書にあてていれば、今頃はいっぱしの文学…

お門違いなユネスコ抗議

「30万人の大虐殺」は、アメリカによる2発の原爆と空襲による日本人大虐殺とバランスをとるための数字。だから抗議するなら中国やユネスコじゃなくアメリカにすればいい。 日本軍が戦争中に中国でひどい蛮行を働いたことは事実だが、「南京市内で30万人」…

きょうの中東情勢

中東は、もはやどことどこが連携していて、どことどこが敵対しているのかも定かではない泥沼。こんな修羅場にも世界の平和を守るために出かけていく破目になった自衛隊員の胸中やいかに。でも、安保法制における自衛隊員の活動範囲は「戦闘現場以外」のはず…

「1億総活躍社会」に安倍晋三の消耗を見る

戦時中を彷彿させる全体主義者らしいネーミングではある。気色悪さ、気味の悪さ、きわまりない。「人生の半分は無職です」というコピーがあるが、平均寿命が長くなった現代の日本において、平均的な人生における無職の期間は多くは半分以上で、おそらく現在…

【仮説】安倍晋三は左翼である

きのう「平和安全法案」が参議院で可決された。これで自衛隊の方たちは、、思う存分、宗主国たるアメリカ様に命を捧げることができるようになった。一般国民も、海外ならびに国内で「テロリスト」たちに標的と認められ、スリル満点の日常生活を送ることがで…

作品は快感の媒介である

デザインは「シンプルさ」が高く評価されることが多いが、シンプになればなるほどマネもしやすくなるのが理の当然である。つまり「優れたデザイン」ほどまねされやすいもので、この優れたデザインの意識・無意識の相互模倣が、デザインの世界全体のレベルア…

暴力の脅威と融和の知恵

武士が腰に大小を差していた時代は、他人と感情的摩擦を起こすことは命のやりとりに直結していた。侮辱されても刀を抜けないような人間は、武士の風上にも置けなかった。「侮辱」は、するほうもされるほうも命がけだったのである。その名残は戦前まで残り、…

自分のご機嫌をとる

我慢には、「したいことをしない」我慢と、「したくないことをする」我慢の二種類がある。子どもが先ず覚えるべき我慢は「したいことをしない」方で、「したくないことをする」方はもっと成長してから身につけたほうがいいと考えている。その理由は、あまり…

稀代の国賊集団になる前に

もとより左翼や良識的な保守層から否定されている上に、煮え切らない「談話」よって軍事オタクや低レベルの保守の反発も買う結果になり、安倍政権の支持者は、もはやネトウヨか、アベノミクスの恩恵を受けている層だけになった。ネトウヨにはつける薬がない…

日本とグローバル戦争

織田信長は国内統一のあと大陸侵略をもくろんでいたという説がある。かれが謀反に倒れたあと、跡を継いだ秀吉は実行に移し、「唐天竺までおよぶ」大帝国を打ち立てようとして失敗し、後に残ったのは朝鮮や明国と日本の間の深い禍根だけだった。徳川幕府の鎖…

書生論の危うさ

「戦争を抑止するために軍事力を高める」という思考は、「喧嘩をふっかけられないために空手を習う」という発想と根を一にし、一定の合理性があるが、さらに高次の合理性は「喧嘩相手をつくらないためのコミュニケーション力を身に着ける」という思考と行動…

ものの値打ちについて

これまで自分がした一番高い買い物は中古の自動車で、たしか150万円ぐらいだった。銀行から現金でおろし、翌日中古車屋に渡すまで一晩いっしょに過ごした。夜眠るまえに、畳の上に150枚の一万円札を敷き詰めて、その上を転げ回って楽しんだ ・・・と書きたい…

誰もが背負う「千人にひとり」

「新規事業」を成功させるコツはおそらく「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」以外あり得ないと思う。それにはある程度の「下手な鉄砲」に目をつぶる上層部の度量が要る。バットを振ってみなくてはボール当たるかどうかはわからない。バットを振る前に当たるかどう…