2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

交剣知愛

昨日25年ぶりに防具をつけて剣道をした。25年といえば、赤ん坊が生れて幼児になって剣道を始めて、小学生になって道場に通い出し、中学生で部活に入り、高校生になり大学を卒業して、警察に入り特練生になってレギュラーになるまでの時間である。四半世紀と…

情報と思考

エドワード・ウェストン「ヌード」 上の絵と下の内容はまったく関係がないのだが、それはさておき・・。 先日参加したあるセミナーで、石川善樹氏の「考えるとは何か」というタイトルの講演を聞く機会があった。この人が登壇した時、どこかで見たことがある…

ロバート・ブルーム「日本女性」

ロバート・ブルームは明治の中頃の日本に滞在し、まだ徳川時代の空気が濃密に漂っていた当時の日本人の生活を描写した作品を数多く遺した。当時の日本の文化度の高さは、訪れた外国人が等しく驚嘆しているところで、多くの人はそれを文章で残したが、ロバー…

ミケランジェロ「ピエタ」

小林秀雄は、ミケランジェロの最高傑作は「ピエタ」だと言っていた記憶があるが、自分が見た範囲でもこの説に賛成である。 「ピエタ」には、「人間はこれ以上の彫刻を作ることはできないだろう」という頂上感というか、行きつくところまで行きついた感が漂っ…

ダンサー

日本は原爆投下の直後に降伏したから、「原爆が終戦に導いた」かのようにも見えるが、事態は全く異なり、あの段階において、日本の敗戦は日米両国の首脳において既に規定事実であり、日本側は敗戦後どう国体を維持するか、アメリカ側は戦後どうソ連を抑え込…

ある死生観

「ぼくの座右の銘は「一寸先は闇」。いつか原爆の症状が出るのではないかという不安から、死と背中合わせに生きてきたので、徹底的な現実主義者になりました。ぼくは、原爆地獄の中で、あまりにもたくさんの死体を見過ぎてきました。だから人間というものは…

「明治神宮」という幻想

惨き夏昭和は遠くなりにけり 今年、酷暑のある一日に、初めて明治神宮に行った。明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后を祀っているのだが、ここには明治天皇の御陵(お墓)はない。明治天皇の御陵は京都にある。では明治神宮には誰が、あるいは何が、あるのだろう…

左手で弾く少女

頭の才覚ではなく、優れた技術をもつ人間は美しい。さらに、修練の末に体得したその技術が、伝統や文化に深く根差していればいるほど、その美しさは深いものになる。 音楽は、耳で聴く音もさることながら、目で視る演奏者の姿にも、美しさがある。この絵は、…

第66回全日本剣道選手権大会

剣道はするのは嫌いだったけど、観るのは好きなんだよな、というわけで、今年も全日本選手権に観戦に行った。 それにしても、日本武道館の観客席で食べるシウマイ弁当は、なぜこんなに美味いのだろうか。こうなると、ビールも飲みたいところだが、剣道の試合…

文化財修復師

晩年のゲーテの秘書のような仕事をし、ゲーテの死後、その発言録を著したエッケルマンという人がいる。その人は、日々大量に降り注がれたゲーテの言葉シャワーを手のひらで受け止めたぐらいの量しか書けていない、と述懐しているが、この言葉は、歴史という…

化粧中

結婚なんかして何のメリットがあるんですか、というようなことをきいてくる人がいたら、何のメリットもないのでしないほうがいい、と答えようとずっと思っているが、だれもそういうことをきいてくれない。 子供なんかいて何のメリットがあるんですか、という…

「論理国語」と「文学国語」

小林秀雄 漫画や映画は高等学校までの授業では観賞することはほぼできないが、一歩学校の外に出れば、文化として隆盛し、商品として大量に流通している。文学作品も教科書に載ろうが載るまいが、読む人は読むし読まない人は読まない。また、真に文学的才能が…