2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

牛と肉の間

レンブラント「屠殺された牛」 食べる前に料理の写真を撮るとまずくなる気がする。おそらく、写真を撮ると「食べ物」がたんなる「物」に見えてきてしまうからだろう。 この現象は結構深刻で、例えば焼き魚は写真にとるとたんなる魚の焼死体に見えてきてしま…

変容の歴史と、受容の伝統

「農耕牧畜社会」では、生態系の頂上に人間がいるからさらにその上の存在を規定する一神教的なマインドが生まれたが、「狩猟採集社会」では、人間より能力や生存力の高い動物や植物が沢山とり巻いているせいで多神教的なマインドが醸成されたという中井久夫…

言葉の異郷

小林秀雄の著作を読み返していると金言が至るところに見つかって、しみじみと面白い。特に、若さゆえの力みがとれて、かといって老境の晦渋さにも入っていない、四五十代の頃のものが、論理に張りがあり、展開に美しさがあり、表現に詩的風韻があって、良い…

大樹が滅びる時

東証1部の衣料品大手「レナウン」(東京・江東区)は15日、民事再生手続きを開始すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、主要取引先だった大手百貨店が休業となり、大きな打撃を受けた。負債総額は138億7900万円。帝国データバンク…

安倍晋三の「我が闘争」

今政府の国民への財政出動の動きも金額もしょぼいのは、お金を渡したくないからということもあるが、平時に無駄遣いをしすぎて資源がないから、である。平時の政府の悪辣・放縦を見逃していると非常時に被害を被るのはいつも国民だ。 「非常時なんだからいく…

多摩川 

結構大きな魚がいる。はっきりと魚影が見える。釣りの趣味にするのは永年のあこがれだが、なんとなく踏み出せずにいる。 夕方になると、釣り人たちがテトラポットに集まってくる。ここが釣り場になっているらしい。大人でも細心の注意を要する足場だが、そこ…

流鏑馬(やぶさめ)

乗る人は馬の気持ちになってみて。

共同幻想が崩れるとき

王権VSブルジョアジーの市民革命を経たあとの第2波として、資本家VS労働者の「階級闘争」が始まるのだが、この動きが共産主義国の没落で潰えたのが、結果的に「庶民を守る」哲学がキリスト教的博愛思想以外どこにもない現代に、繋がっている。 キリスト教的…

あやうい籠城戦

熊本市のキャンペーンポスター 熊本市が外出の自粛を「籠城」に例えたことに、個人的にはとても不吉な印象を持った。歴史上、籠城戦は戦況逼迫した局面で追い込まれる、やむにやまれぬ時間稼ぎのための最終手段であり、実際、成功したためしがないからである…