2014-01-01から1年間の記事一覧

統合的視点について

日本社会を成長させるには女性の活用が不可欠だと持ち上げられる一方で少子化になるのは女性が子供が生まないからだと責められ、若いうちに子供を産まないと恐ろしいことになるぞと脅され、じゃあ子供を産もうとすると産婦人科医は不足しており、仕事をしな…

歴史の継ぎ手

モノやコトというのはそれを認識する主体があって初めて「存在」することになる。この段でいうと自分という認識する主体が無くなったあと(つまり死んだあと)の世界は存在しないのも同じであり、つまり「自分の死」は「地球の破滅」とほぼ同義だという考え…

松本清張の「ひがみ根性」

大岡昇平の松本清張評によると、彼の作品には「ひがみ根性」が横溢しているとのことだ。確かに、ひがみ根性を文学的主題にするのはありだろうが、作者がひがみ根性をエンジンにして作品を書いている姿勢は、鋭敏な人には鼻につくものなのだろう。けれどもお…

呪いの言葉

先日、ある人と話をしていて、内心すごく腹が立ったのだが、落ち着いて考えてみると、自分が腹を立てた理由をうまく説明できそうにないことに気がついた。そのいきさつを一から説明しても、おそらく誰にもわかってもらえないだろうという気がしたのだ。それ…

2014年衆議院選挙前日にて

政治家の選挙活動とは、選挙期間中に街中で騒音をまき散らすこととほぼ同義だが、これは立候補者当人の不安払拭のためになされるもので、つまりは神社への参拝やお百度参りと同段であり、選挙民の投票行動に寄与する効果はほぼゼロだといっていいと思う。立…

機械と人間

「機械にできることは機械に任せ、人間は人間にしかできないことをしよう」という議論がある。では、「人間にしかできないこと」ってなんだろう。せんじつめるところ、とっても陳腐な話だが「気持ちをこめる」ことしかないような気がする。「機械でもできる…

敬意と恐怖

敬意を払うという行為は、相手の「力」を認めることなので、自分にそれと対峙するだけの「力」があるという確信がない人は、他者に敬意を払うことはできない。つまり他者に敬意を払わない人は、多くの場合、自分の「力」に確信がない人である。他者から敬意…

命名 「目くそか鼻くそかを選ばせる」選挙

前回の衆院選では、民意は民主党に引導を渡しただけで、自民党を信任したわけでも、いわんや安倍氏を総理に選んだわけでもない。 それを民意で選ばれた指導者のようにふるまい、さらに今回の選挙で政権を維持できれば「アベノミクス」や9条の拡大解釈が支持…

「いい人」について考える

幕末に日本を訪れた外国人の手記を読んでいたら「個人が共同体のために犠牲になる日本で、各人がまったく幸福で満足しているように見えることは、驚くべき事実である」という一節を見つけた。 おそらく事情は逆で、当時の日本人は共同体がこそって個人の世話…

野球についてのひとくさり

阪神が、セリーグを制した巨人を4連勝で葬り去り、日本シリーズ進出を決めた。これを機会に、「リーグ優勝しても日本シリーズに出られないかもしれない現行制度下でリーグ優勝すること」に、人々がどれだけの価値を見出しているかを一度リサーチしてみると…

「生活を愛でる」大切さについて

イケアにいき、生活を愛でる気分というものを味わう。 こういう気分はどちらかというと女性に親和性があり、この性質があるがゆえに、(突然飛躍するようだが)女性は男性より自殺率が低いのではないかという気がする。生活を愛でる気分とは、生きていること…

「共」の思想

高齢者の医療費や生活保護費など「社会的弱者」への補助に、昨今厳しい目が向けられている背景には、国の財政難の他に、人々の「共同体」意識の希薄化があるように思う。 共同体は、必至でポテンシャルを発揮しそれを支えている三割の人間とそれにぶら下がっ…

祝!日本国民(安倍晋三氏除く)がノーベル賞受賞

太平洋で日本軍の恐ろしさが身に染みたアメリカは、戦後憲法9条を押しつけて日本人が軍隊を持てないようにしたが、ソ連と張り合うにはアジアにも息がかかった軍隊が必要だとすぐさま思い返し、自衛隊をつくらせた。 冷戦終結後、イスラム圏との戦争をするに…

二十代の自殺に関する覚え書き

自殺を考えていた(いる)二十代の若者が話し合う番組を見た。 藤村操が遺書を木肌に彫り込んで華厳の滝から投身自殺した時、友人の岩波茂雄(岩波書店創業者)はその哲学的感性に共感した。しかし人間は「哲学的懊悩」などと言う抽象的な理由で自殺すること…

鳥瞰的知性について

自分を利害から遠い位置において評論家然と物事を批評するのは一般的に卑怯な態度だとされるが、人は自分事ほど視野狭窄になり、他人事ほどその批評は正鵠を得たものになる傾向のあるので、それにも一定の社会的価値があるといえる。ようするに「深い洞察」…

存在

存在感のない人間などいない。自分はそう考えている。尾崎豊のいうように、「存在」とはまさに「いつも認めざるをえないもの」である。だとすれば、自分のような人間にもそれなりの存在感はあると考えていいはずだ。ここでいう存在感とは、その人が存在する…

「観」についての覚え書き

公営のプールでさまざまな人の泳ぎを眺めていると、ひとくちにクロールといっても実に多様な泳ぎ方があることがよくわかる。ゆっくりと腕をまわし足はほとんど動かさない人、手足をせわしなく回転させる人、リズミカルに息継ぎを刷る人、じつにいろいろな泳…

文章とは自己肯定である

「文章とは自己肯定である」というフレーズをどこかで読んだことがある。でも、どこで読んだのかどうしても思い出せない。もしかすると自分がつくった言葉かもしれないが、でも、こんなに気の利いた言葉を自分が作れるとは思えないので、たぶんどこかで読ん…

命の値段

小学生の男の子を去年の夏祭りの爆発事故で亡くした両親とその子の姉が、事故以来深い悲しみに打ちひしがれ続けている、という新聞記事を読んだ。もともと人間は独りなのだから、残った三人家族だって十分じゃないか、という考え方もある。しかしそれは単な…

不浄といふ事

自分が子どもの頃、家族で外食などをしたときなどに、支払いはいくらだったのか、というようなことを母親に訊くと、イヤな顔をされて「子どもはそんなことは知らなくていい」といわれるのが常だった。この言葉を聞くたびに、自分の質問は何かの禁忌に触れて…

花火

不特定多数の観衆に向けて無償で提供されるエンターテイメントといえば、火事や交通事故などのアクシデントを除けば「花火」しかない。花火は、それを視認できる条件下にある人なら誰でもそれを観賞することができ、主催者は観衆から木戸銭をとることはない…

2014.07.20 テレビを視ている

第三者の目とは

ずいぶん昔のことになるが、ネット上でマルクス主義者の人と社会のあり方について言葉のやりとりをしたとき、議論がことごとく噛み合わなくて、「なぜこんなにも噛み合わないのだろう」と不思議に思ったことがある。今にしてみればその答えは明らかだ。こち…

ユニーク性と真実性

人間の言説は、内容のユニーク性と真実性に着目すると四つの種類に分けられる。①内容はユニークだが、真実では無いもの ②内容はユニークでは無いが、真実であるもの ③内容にユニークさは無く、真実でも無いもの ④内容にユニークさがあり、真実でもあるもの①…

岸信介「晋三への霊言」

最近、スピリチュアルに目覚めたらしく、様々な方の霊言が聞こえるようになりました。今日は故岸信介氏のお孫さんあての霊言をいくつか傍受しましたので、ここにリークします。 「晋三、靖国神社参拝や普天間基地移設問題でこじれた対米関係をなんとかしよう…

インチキとは何か

上は、ビッグサイトで開催中のブックフェアで見た、ある宗教団体のブースの写真である。さすがに本田選手の生き霊に語らせるのは躊躇したらしく、「守護霊」を呼び出すスタイルをとっている。それでも、知的財産権をはじめとするいろんな個人の権利を侵害し…

手垢

三年前に義父が亡くなったときの葬儀の場で、当時4歳だった娘は「おじいちゃんはみんなの心の中で生きているんだよね」といった。斎場の係の方にはとてもいいことをいうと褒めていただいたが、あまりにませた言葉だったので、自分はこういう言葉を以前どこ…

ヤジに関する覚え書き

都議会で都の晩婚・晩産化対策への取り組みを糺す女性議員へ発せられたヤジの下劣さと、ヤジ主を特定し然るべき処分を下すことの必要性はともに疑うべくもないが、それを前提にしつつ、以下もう少し考えてみる。 小学生の学級会から国会に至るまで、あらゆる…

棄てるという哲学

さきごろ、ヨーロッパのある中世遺跡で便所の跡が見つかったというニュースを視た。そこには糞便が大量に残されており、斯界の研究者たちは「まだ臭いがするほどだ」などと喜んでいる。通常、人間の糞便の臭気に興奮するなど特定の嗜好の持ち主ぐらのものだ…

ある遺品候補

仕事帰りにある都心の大型書店に立ち寄ると、その入口の脇で浮世絵を販売をしていた。目玉は、安藤広重の「東海道五十三次」全五十五枚と、葛飾北斎の「富嶽三十六景」全四十六枚で、それらは、明治から昭和にかけて刷られた作品の寄せ集めではあるが、まっ…