命名 「目くそか鼻くそかを選ばせる」選挙

 前回の衆院選では、民意は民主党に引導を渡しただけで、自民党を信任したわけでも、いわんや安倍氏を総理に選んだわけでもない。

それを民意で選ばれた指導者のようにふるまい、さらに今回の選挙で政権を維持できれば「アベノミクス」や9条の拡大解釈が支持されたと、夜郎自大然にうそぶくことだろう。

民主党に引導を渡したのであって自民党を信任したのではない」というのは、自民党の総得票数にも顕れている。自民党が2009年に政権を失った選挙と、2012年に政権を奪還した選挙では、総得票数においてはほとんど違いがないという話もある。

ではなぜ2012年衆院選自民党が多数の議席を占めるようになったのかというと、死票が大量に発生する選挙制度、「維新」などの第三極への流入以上に大きな要因になったのは投票率の低さである。2009年は69%に達した投票率が、2012年は59%と「戦後最低」だった。

簡単な算数だが、代議士の選挙では、全体の投票率が低ければ、得票数が少なくとも、圧倒的に勝つことが可能になる。2012年衆院選においては、自民党は要するに「国民の政治への無関心」という恩恵を受けたにすぎず、政策や構成員の人品が信任されたわけでは到底ないのである。

今回の衆院選においては、
・与党は総得票数で2012年から激減
投票率は戦後最低を更新
・与党は政権を維持する
・・という結末に、ほぼなるだろう。

絶望と哀切に満ちた結果だが、ではこれ以外のどういう結果が望ましいのかというと、それが苦いことに自分にはさっぱりわからないのである。