2013-08-01から1ヶ月間の記事一覧

あるパラドックス

失恋が原因で自殺した人って、有史以来何人ぐらいいるのだろう。ひょっとすると億単位かもしれない。そのぐらい、恋愛というのは一種命がけの行為だ。「失恋」というのは、最高度に大げさに表現してみると、「自分の全人格が全否定され、この世における存立…

読書

歳をとる利点の一つに、かつて鑑賞したおもしろい作品を、まるで初めてみるような新鮮さで再鑑賞できる、ということがある。ただ、これは情報への感受性と記憶の保存力(この二つは本質的には同じだが)の衰退が大いに関係しているのだから、手放しで喜ぶこ…

「はだしのゲン」とは何者か

当時小学生だった自分のこの漫画に対する興味は、原爆や戦争の悲惨さに神妙になるというより、次々と繰り出される残酷あるいは不潔な刺激的描写と、どんな目にあってもめげない主人公の驚異的な活力だったことを思い出す。 この漫画は週刊少年ジャンプの熾烈…

風立ちぬ

この作品の中に「飛行機は戦争の道具でも商売の手立てでもなく美しい夢だ」みたいなセリフがあったが、もし零戦に美しさがあるとすれば、それは「戦争の道具」という機能性と切り離せないものだったのではないだろうか。 国立博物館の「和様の書」展を見、本…