2019-01-01から1年間の記事一覧

チコちゃんが疑われる

NHKテレビに「チコちゃんに叱られる」という人気番組があり、先日「鏡の中の自分はなぜ左右逆に映るのに上下は逆にならないのか」という問いがあった。 答えは「わからない」で、「なぜわからないのか」を、大学教授がえんえんと説明していた。その大学教授…

人間は万物の尺度である

自分が寛大だからと言って、相手も寛大であるとは限らない。自分が賢明だからといって、相手も賢明だとは限らない。自分が愚かだと言って、相手も愚かだとは限らない。自分が楽しいからといって、相手もたのしいとは限らない。自分が苦しいからといって、相…

攻めと守りの要諦

人間が攻撃的になるのは攻撃されるのを恐れているからだ。戦場では自分が弾を撃っている間は敵の弾は当たらないという妙な思い込みに囚われるらしいが、平時でもこの類いの妄念から逃れるのは難しい。 「攻撃が最大の防御」になるのは、自分に敵を圧倒する力…

イメージわくということ

最近、ほぼ三十年ぶりに剣道を再開した。やってみて驚くのは、からだが思ったより動くのと、相手と対峙したときに攻防のイメージがまったくわかないことだ。 自分の予測ではこれは逆だった。おそらく昔とった杵柄で、攻防のイメージはわくのだが、身体がうま…

腹が立つということ

なにかひとに言われて腹が立つということは、その言われたことが、多かれ少なかれ、的を得ているからだ。 例えば、もし、身長2メートルの ひとが、「おまえ、チビだな」と言われてもなんの痛痒も感じないだろうが、微妙な身長のひとならば、多く場合、いた…

獣性と洗練性

W杯ラグビー 準々決勝で日本3対26で南アフリカに敗北 会田雄次は 「アーロン収容所」の中で「イギリス兵は、貴族階級と労働者階級では体のでかさからして 違うからはっきり判る」と述べていて、貴族階級のスポーツであるラグビーの試合を見るたびに、自分は…

空想的マッチョイムズ

戦時中アメリカには京都に原爆を落とす計画があったが、占領後の日本人の国民感情を考えて思いとどまった。日本にも原爆を製造するプロジェクトがあり、もしそれが成就し、太平洋を渡れる爆撃機があったら、確実にワシントンに原爆を落としたことだろう。戦…

孤独が産み出すもの

樹木のある風景 夏目漱石の書いた文書を読んでいると、彼は時代を象徴する作家であったとともに、時代から隔絶された孤独な人間であったことを感じる。孤独であることと、時代を象徴することは、一見矛盾するようだが、その時代において(外貌はどうあろうと…

やるべきことがあるのにやる気がおきないとき

やるべきことがあるがやる気がないとき、やるべきことが実はよく分かっていない(だからやるのが怖い)場合と、やるべきことが実に分かりすぎている(だから興味がわかない)場合の二つのケースがある。そして、今回はおそらく後者だ。あ~、めんどくさい。

レンタルなんもしない人

「レンタルなんもしない人」さんの話を聴きに行く。 レンタルさんの需要は、「人恋しいが、人と接するのは嫌だ」という心理にある。言葉を換えれば、需要者は「人間関係を抜きにした素の人間」をレンタルさんに求めているわけで、これは「アルコール成分を抜…

生と死のフィクションとリアリズム

客観的実在と認識する主体がそろってモノは存在するのだから自分の死は世界の終わりと同じであり、自分の死後も世界が存在すると考える方がフィクションである。 「自分の死とともに世界は崩壊する」というリアリズムは、多くの人は自分の死に直面しないと気…

京都 清滝

京都 大覚寺 大沢の池

正攻法では通じない

以前ある人が「テニスは相手のコートの空いているところに球を打ちあう卑怯なスポーツだ」と言っていた。一見子供らしい意見だが、聞き流すにはもったいない指摘だと思った。相手が待ち構えているところに球を打ち、球を投げ、竹刀を振り下ろし、かつそれを…

「歴史的使命」を終えた安倍政権

今にして思えば、オバマのレガシーのために従軍慰安婦問題をたった10億円で強引に手打ちにしたのが現在の日韓関係のこじれの諸元であった。 従軍慰安婦問題はその事実関係がどうなのか以前に、朝鮮半島のかつての日本統治への怨嗟の象徴なのだから、よほど注…

ゼロサムゲームにおける「国益」とは

金融緩和によってデフレが解消するというのは原理的な理屈はわかりやすいが実際的には非現実的だった。これは繋がっている太平洋は大西洋で海面の水位は同じになるはずだが、現実には地球の自転や月の引力や海流や風という複雑な変数によって大きな差ができ…

子供に学ぶ

「剣道場床工事 武床工舎」のサイトより引用 https://noka-tsubasa.wixsite.com/bushoukousha/blog/%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AB%E5%AD%A6%E3%81%B6?fbclid=IwAR2ILptm6nYA-ncPHxFTAeQmtlwVsmN3q5TGZwNszxEdX_M1cCIIaJfQRJ0 ===========…

金剛力士像

東大寺南大門の仁王像。こういった多くの人の目に触れてきたモチーフは、表情が皆の目にすっかり焼きいているので、形やニュアンスの狂いがすぐに判ってしまう。本物の仁王様は、この絵より、もっと怒っているし、もっと優しい。さらに激しく深い感情が伝わ…

和髪

絵とは関係ないが、昨日、半年ぶりに剣道をした。基本打ちを入れた本格的な稽古は、ほぼ学校卒業以来で、二十年以上ぶりぐらいだった。今年に入ってから、毎日素振りをしているせいか、体は意外とスムーズに動いたが、頭の中は学生時代のまま、体だけ衰えて…

肖像画

肖像画

絵は大きい絵より、小さい絵の方がごまかしがきかない。特にデッサンの狂いは、小さい絵の方がてきめんに判る。これは、大きな絵を制作時には、時々下がって眺めることが必要なことにつながる。 一見うまく仕上がった絵でも、縮小して表示すると、とたんに粗…

肖像画

村上春樹の「騎士団長殺し」の主人公は肖像画家だが、この人がタレる絵画のうんちくがものすごく面白い。村上春樹は絵画にも通暁していることがよくわかる。ストーリーや登場人物はおなじみのパターンだが、あの小説は一種の教養小説でもある。一度読んだ小…

ゴルフのレッスン

ゴルフ練習場に2人で来ている人たちを見ていると、たいてい腕に差があり、自然と、上手な方が、そうでない方を指導するような図式になる。 「上手な方」はそうでない方へ、肩の開きをどうしろとか、グリップの握りがどうだ、といろいろな角度からの指導をす…

本質の世界

色は考えるのが面倒だし、少なくとも自分の画の場合、色をつけたところで画面は少しも良くならないから敢えて色をつけようとはあまり思わない。長谷川等伯に「松林図」という国宝の墨絵があるが、あれに絵に色をつけても、価値は減ずるばかりだろう。日本画…

切り離す道具

外食後に入った喫茶店で、ある若いカップルがいた。女性の方が色々話しかけているのだが、男性の方はうつむいてスマホばかりいじっていた。年代を問わず、当世のカップルでよく見られる風景である。 ひと昔前なら、会話が途切れ、手持無沙汰なとき、多くの男…

意思を顕し、そして通した偉大さ

「退位礼正殿の儀」で天皇として最後のお言葉を述べられる陛下 元号が新しくなった。この改元は、新しい天皇が即位するというよりも、憲仁天皇陛下と美智子皇后陛下が退位するという意味あいの方が自分にとっては濃い。 自分は、生まれ育った「昭和」への愛…

「膝枕」からの目覚め

休日の昭和記念公園に訪れる人たちは、家族連れかカップルがその大半を占める。芝生広場では、ボール遊びなどの興じる親子や、レジャーシートの上で二人で寝そべるカップルの姿であふれている。そういったカップルの中に、たとえば女性の膝枕で横になってい…

きょうだいが走り回る小川の畔

この絵を描いているあいだじゅう、10歳ぐらいの長男を頭にした三人きょうだいが、自分の周辺を走り回っていた。もちろん、自分の描いている絵に興味を持ってのことではなく、目の前に広がる自然の風景に興奮していただけなのだが。 一番下の女の子はおそら…

思考実験「自分は間違えている」

人間は一般的に今すでに自分が持っているもの(物事や経験)の価値について、間違った評価ばかりしていると思う。「自分が持っている」ということを理由にして「こんなものはたいしたものではない」と過小評価したり、逆に「これはすごく価値のあるものだ」…

選ぶ側の性

金曜夜の十一時過ぎの電車の中は、飲み会帰りの乗客が多いものだが、先日、それらしきすっかり出来上がっている、男1人女2人の若い三人組が自分の目の前で会話をしているの聴いた。 容姿的には美男でも美女でもない三人だが(この情報は余計だが)、女の1…