2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

ミ・アモーレ

中森明菜の代表曲である。歌いかたといい、踊りといい、歌っているときの表情といい、中森明菜の持てる才能が全開になるのは、この歌をうたっているさなかをおいて他にはない。彼女自身も、おそらくこの歌が一番好き、というか、この歌をうたっているときの…

場に宿る神

出張がえりの新幹線の中で、乗務員や車内販売の女性が車両から出て行くときに振り返って一礼するのを見て、あの一礼は何に向かってしているのだろうかと考えた。もちろん、乗客に向かってしているのが主だろうが、おそらく「場」に対する敬意も微量に含まれ…

トリスタンとイゾルデ 前奏曲

歌謡曲という音楽ジャンルについての雑文を書きながら、いつ忸怩たる思いをしてきたのは、結局は歌詞についてしか書くことができないところだった。音楽の主役はあくまで音であって言葉ではないのだが、音から得る感動は言葉に乗らないので書きようがないの…

学校公開

自分が小学生だったときは「授業参観」と称し、自分の子供がいる学級の、それも1時間分の授業しか見られなかったと思うが、現在は午前中いっぱい、父兄はもとより地域住民にも学校を開放し、1年生から6年生まで、どのクラスのどの授業をどれだけ見てもよ…

奇妙な  

電車の中で前に座った中年男性が、株式投資入門みたいな本を読んでいた。この時勢のもと、とてもわかりやすい行動だが、株とはそもそも「みんなが買っているときには買ってはないならない」もので、これは、およそ20年ぐらい前、日本人すべての骨身にしみ…

思秋期

はるか昔に過ぎ去った自分のモテ期を懐旧の情にひたりながら振り返り、「ひとりで紅茶飲みながら」、かつて自分がソデにした男たちに「絵葉書なんか書いている」という、見ようによってはかなりいい気な歌だが、名曲なことには変わりない。この歌が名曲であ…

女性手帳

ひょっとするとこれは、少子化にかこつけた公共事業の一種なのかもしれない。公共事業は、巨額な無駄遣いがその政策の本質であり、手帳を何千万部も印刷会社に刷らせ、郵便や宅配便会社に配らせ、ゴミ箱から廃棄物業者に回収させ、焼却業者に灰にさせれば、…

初恋

ダブルのスーツにポマードをきかせた七三分け、貫録十分な体躯はどこの芸達者な部長さんか、と思われそうだが歴とした「シンガー・ソングライター」である。この文章を書くにあたりウィキペディアで「村下孝蔵」を検索してみたら、その人生のあまりの波乱万…

木綿のハンカチーフ

この歌は自分より一世代上のヒット曲で、自分が知った時にはすでに名曲としての地歩を固めていた。地方から就職で上京するが、華やかな空気に有頂天になり、色気づき、身なりはあか抜けてはいくが人間としては堕落していく愚かな男と、その浮薄な変貌にアラ…

無礼の風圧

武士が腰に大小を差していた時代は、他人と感情的摩擦を起こすことは刃傷沙汰に直結していた。侮辱されても刀を抜けないような人間は、武士の風上にも置けなかったのである。この気風は町人、百姓におよび、その名残は戦前まで残った。現在において、感情の…

あるオブジェ

東京ビッグサイトにある巨大なノコギリのオブジェ。道ゆく人たちに「このオブジェは有ったほうがいいと思いますか、無くてもいいと思いますか」と質問すれば、「無用の用」の解さない無教養な人間だと思われたくない人は「有った方がいい」と答え、「コスト…

仮想現実

生身の人間とリアルタイムで同じ動きをするキャラクターたち。この技術が進歩すれば、スタントマンのような黒子の動作モデルだけ雇えばよくなり、いずれ俳優は職業として必要がなくなるだろう。この技術の進歩は、気の遠くなるような枚数を地道に描き重ね、…

「レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の肖像」展

上野の東京都美術館で開催中の「レオナルド・ダ・ヴィンチ展 天才の肖像」を見に行った。出展されていたダ・ヴィンチ作品は、ほとんどが「手稿」と称されるアイデアメモ(一部は単なる落書き)であり、画家としての作品は、宣伝素材として使われている「音楽…