2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

二つの足場

娘が通う小学校にいく。自分が小学生だったころは授業参観と言ったが、今は「学校開放」と称し、学校の中ならどこをうろついても良いという建前になっている。教室の中に貼り出している作文は、ひと月ほど前に行われた運動会が共通のテーマになっており、何…

永遠の機心

よく「人間だから間違いを犯すのは仕方がない」という言い方をするが、では「人間以外の決して間違いを犯さない存在」とはいったい何か。それはおそらく、近代までは「神」であり、そして現代においては「機械」である。「機械のように正確だ」という類の修…

煙が目にしみる

自分は二十年間喫煙者だったが、最後の十年間は、タバコを吸い終わるたびに「タバコの無い世界に行きたい。。」などとメルヘンチックな妄想にひたっていた。 「タバコでストレスが解消できる」という論理は、正確にいうと「タバコを吸いたいというストレスは…

リサイクル

輪廻転生とは、要するに「死んだあとに、自分以外の何かに生まれ変わること」であるが、仏教の教えによると、生まれ変わり先は実にさまざまで、イモリが人間になることがあるし、美女が鈍牛に生まれ変わることもある。そして、それを決定するのが「因果」と…

井筒俊彦と「西洋」の思想

言語哲学者の井筒俊彦の生誕百年を記念して企画された、慶応義塾大学の公開セミナー「井筒俊彦と西洋の思想」を聞きにいく。自分はこういった無料セミナーのたぐいに忍び込むのを一つの趣味にしているが、その目的は、新しい知識を吸収するというよりも、話…

それをいっちゃあおしまいよ

以前、学習塾に子どもを通わせるお母さんたちを集めたグループインタビューを見学したとき、我が子の受験勉強について参加者たちが持論を熱っぽく語りあっている中、ひとりのお母さんが、「でも、そんなに勉強していい大学に入って卒業しても、今はろくな企…

人生談義

喫茶店や電車の中で、若い女性どうしの話を聞くともなく聞いていると(つまり聞いているわけだが)、えんえんと恋愛の話をしていることがよくある。これは自分の知る限り、女性特有の現象で、若い男性どうしが恋愛の話を延々としている場面にはまずお目にか…

可能性の寿命

青信号が点滅している横断歩道を、急いで渡ろうと走るのは一苦労だが、渡るのを諦めて立ち止まれば楽になれる。しかし、信号はいずれ再び青になるが、「可能性」は、たいていの場合、一度つかむのを諦めれば二度とよみがえることはない。チャンスが閉じる瀬…

悲しさ

人間の感情には、大きく分けて「快い」ものと「不快」なものがあると思うが、では「悲しい」という感情は、快なのか、不快なのか。 まず、「快」である、という考えかたがある。たとえば良い音楽や、優れた文学や美術作品には、多くの場合「悲しみ」が含有し…

敬意を添える

他者とのコミュニケーションなくして、人間は何一つ作り上げることはできない。目の前の古ぼけた雑居ビル一本にしてからが、どれほどのコミュニケーションを積み重ねた末に建っているものなのか、知れたものではない。現代において「仕事ができる」とは「コ…