2018-01-01から1年間の記事一覧

金魚

出目金(デメ) 一昨年の夏祭りに、娘が金魚と黒いデメキン持って帰ってきた。金魚は「ベニ」、デメキンは「デメ」とそれぞれ娘が名づけ、飼うことになった。 はじめは二匹を同じ水槽で飼っていたが、金魚がデメキンを追いかけ回していじめてばかりいるので…

ある区切り

皇后陛下(1967年) 皇后陛下は、皇室に嫁がれることなく、民間人のままでいたら、きっとひとかどの文化人になったことだろう。高い知性と、豊かな情操と、強い意志、そして高貴な容貌を兼ね備えた、これ以上望むべくもない宝石のような方が、皇室に入って六…

「不死身の特攻兵 軍神はなぜ上官に反抗したか」 鴻上尚史

日本人とオーストラリア人との間に生まれたサラ・オレインという歌手が「わたしは半分は日本人なので、滅びの美学がわかります」と述べているのを新聞で読んだことがある。 自分は両親ともに日本人で日本以外の場所で生活をしたことがない人間だが、自分に「…

「最後の」天皇陛下のお言葉

この1年を振り返るとき、例年にも増して多かった災害のことは忘れられません。集中豪雨、地震、そして台風などによって多くの人の命が落とされ、また、それまでの生活の基盤を失いました。新聞やテレビを通して災害の様子を知り、また、後日幾つかの被災地を…

自由と不自由

イワン・イワーノヴィチ・シーシキン 「雨の樫の木」 生涯結婚するつもりがない、という知人がいる。結婚をするかしないかは全く個人の自由で、そのビジョン、あるいは生活哲学に誰も口をはさむことは出来ない。・・自分の言いたいことは以上に尽きるので、…

バカの巷

「頭にきてもバカとはつき合うな」みたいなタイトルの本を最近そこらじゅうでみかけるが、相手が「バカ」であることで「頭にくる」のは、自分に対する一定の影響力が相手にあると認めていればこそだ。 自分に対して影響力がない「バカ」に対して人は「頭にく…

選択

フィギアスケーター 紀平梨花選手 友人から、離婚を考えているという話を聴く。 結婚生活が破綻しているか平穏に営まれているかどうかは、せんじ詰めるところ当事者の心の状態に拠る。心の状態、つまりは「気分」であるからから、その「転換」も簡単に思う向…

イワン・クラムスコイ 「忘れえぬひと」

音楽といい、絵画といい、文学といい、ロシア人は地球上で一番芸術にひいでた、高度な文化を持つ民族かもしれない。しかし彼ら自身は、自らをヨーロッパ辺境の民とみなし、劣等感を持っていたことがドストエフスキーの小説などを読むと伝わってくる。 すぐれ…

女子重量挙げ選手

なせ重量挙げなのか、説明に窮するけど、たんに模写したい写真がみつかったからというだけだが、なんというか、ビジュアルとしてひじょうに美しい感じがした。 「美しい」とは、通常は、形が整っているとか、色がきれいという意味だが、単に外貌がそう見える…

交剣知愛

昨日25年ぶりに防具をつけて剣道をした。25年といえば、赤ん坊が生れて幼児になって剣道を始めて、小学生になって道場に通い出し、中学生で部活に入り、高校生になり大学を卒業して、警察に入り特練生になってレギュラーになるまでの時間である。四半世紀と…

情報と思考

エドワード・ウェストン「ヌード」 上の絵と下の内容はまったく関係がないのだが、それはさておき・・。 先日参加したあるセミナーで、石川善樹氏の「考えるとは何か」というタイトルの講演を聞く機会があった。この人が登壇した時、どこかで見たことがある…

ロバート・ブルーム「日本女性」

ロバート・ブルームは明治の中頃の日本に滞在し、まだ徳川時代の空気が濃密に漂っていた当時の日本人の生活を描写した作品を数多く遺した。当時の日本の文化度の高さは、訪れた外国人が等しく驚嘆しているところで、多くの人はそれを文章で残したが、ロバー…

ミケランジェロ「ピエタ」

小林秀雄は、ミケランジェロの最高傑作は「ピエタ」だと言っていた記憶があるが、自分が見た範囲でもこの説に賛成である。 「ピエタ」には、「人間はこれ以上の彫刻を作ることはできないだろう」という頂上感というか、行きつくところまで行きついた感が漂っ…

ダンサー

日本は原爆投下の直後に降伏したから、「原爆が終戦に導いた」かのようにも見えるが、事態は全く異なり、あの段階において、日本の敗戦は日米両国の首脳において既に規定事実であり、日本側は敗戦後どう国体を維持するか、アメリカ側は戦後どうソ連を抑え込…

ある死生観

「ぼくの座右の銘は「一寸先は闇」。いつか原爆の症状が出るのではないかという不安から、死と背中合わせに生きてきたので、徹底的な現実主義者になりました。ぼくは、原爆地獄の中で、あまりにもたくさんの死体を見過ぎてきました。だから人間というものは…

「明治神宮」という幻想

惨き夏昭和は遠くなりにけり 今年、酷暑のある一日に、初めて明治神宮に行った。明治神宮は明治天皇と昭憲皇太后を祀っているのだが、ここには明治天皇の御陵(お墓)はない。明治天皇の御陵は京都にある。では明治神宮には誰が、あるいは何が、あるのだろう…

左手で弾く少女

頭の才覚ではなく、優れた技術をもつ人間は美しい。さらに、修練の末に体得したその技術が、伝統や文化に深く根差していればいるほど、その美しさは深いものになる。 音楽は、耳で聴く音もさることながら、目で視る演奏者の姿にも、美しさがある。この絵は、…

第66回全日本剣道選手権大会

剣道はするのは嫌いだったけど、観るのは好きなんだよな、というわけで、今年も全日本選手権に観戦に行った。 それにしても、日本武道館の観客席で食べるシウマイ弁当は、なぜこんなに美味いのだろうか。こうなると、ビールも飲みたいところだが、剣道の試合…

文化財修復師

晩年のゲーテの秘書のような仕事をし、ゲーテの死後、その発言録を著したエッケルマンという人がいる。その人は、日々大量に降り注がれたゲーテの言葉シャワーを手のひらで受け止めたぐらいの量しか書けていない、と述懐しているが、この言葉は、歴史という…

化粧中

結婚なんかして何のメリットがあるんですか、というようなことをきいてくる人がいたら、何のメリットもないのでしないほうがいい、と答えようとずっと思っているが、だれもそういうことをきいてくれない。 子供なんかいて何のメリットがあるんですか、という…

「論理国語」と「文学国語」

小林秀雄 漫画や映画は高等学校までの授業では観賞することはほぼできないが、一歩学校の外に出れば、文化として隆盛し、商品として大量に流通している。文学作品も教科書に載ろうが載るまいが、読む人は読むし読まない人は読まない。また、真に文学的才能が…

人間がひとり存在する意味

日本の借金がここまで膨らんだのは、出る金額に対して入る金額がすくなかったからで、簡単にいえば、国家の経済規模に見合った適正な税金をとらなかったからです。なぜ取らなかったのかといえば、政治家が増税して選挙に落ちるののが怖いからです。官僚は選…

底で鳴る音

司馬遼太郎は、芸術を「高度な快感の体系」と定義したが、「高度」や「体系」にはさしたる意味はなく、要は、「芸術とは快感である」と述べたに過ぎない。ただ、「述べたに過ぎない」と一蹴するにはこの言葉はやや惜しい。これは、「芸術」という巨大な船が…

ジャン・フランソワ・ミレー「落穂拾い」 物語派の画家たち

絵の魅力というものは、人間の魅力とやや重なるところがあって、その意味は、デッサンが正確だったり配色がきれいだったりするいわゆる「上手い」絵がそのまま魅力的な絵になるとは限らないように、容貌やスタイルが良かったり、品行方正な人間がそのまま魅…

大阪城公園

ペン画

ペン画といっても、Gペンやカブラペンといった硬質のものは苦手なので、筆ペンでペン入れをした。先日ツイッターで、バロン吉元画伯が、筆ペンでペン入れをしている動画を見て、その線の流麗さと、引く速度に衝撃を覚えたが、漫画であれがありなんだ、と識り…

沢田研二と兼好法師

沢田研二が、9,000人収容の会場に7,000人分しかチケットが売れていないのを理由に、コンサートを開演直前に取りやめたという。 沢田研二ほどの大スターが、日頃どんな価値観を抱えながら生きているのかは、自分の想像の及ぶところではないが、内心のプライド…

仏教の本質

昨日たまたま読んだ雑誌に、「悩んでいる人をなんとかするのが仏教の役目だ」という一節があった。その通りだと思う。「悩んでいる人をなんとかする」のが仏教の本来の役割で、死んだ人を弔ったり、死後の名前をつけたり、晦渋な人生哲学を振り回したりする…

いわゆる「アベノミクス」始末記

今、日銀は、暗喩的に評すれば、「政府の言いなりに紙幣をする印刷所」に成り下がっているが、その「紙」はごく限られた特定の場所にのみ降り注ぎ多くの人には紙くずさえ行き渡ってない。 このいびつな構図を実感できていないか、もしくは「ごく限られた」場…

青木繁「黄泉比良坂」

新聞の掲載画像をスキャンしたもの。 この作品は、「色鉛筆・パステル・水彩」で描かれているという。これだけ画材から自由になって、好き放題使い分けてもいいんだ、ということを学ぶ。