2019-01-01から1年間の記事一覧

空虚を満たす旅

街なかで、中年以降の年代の夫婦と思われる男女が、犬を数匹つれて散歩しているのを見ることがしばしばある。 このうちに幾割かは、子供がいない夫婦で、彼らは子供の代わりに犬を育て、生活しているのだ、とも思われる。逆に考えれば、子供のいる夫婦では、…

意味のある線

絵を描くときいつも意識にのぼるのは、塗っている色や、引いている線に「意味」があるか、ということである。 「意味」で伝わりにくいのなら、「効果」といい換えてもよい。その一筆一筆が、自分にとっての良い絵(それは必ずしも他者からの評価とは一致しな…

女装教授と「嫌われる勇気」

例によって、絵と文章は関係はない。 「嫌われる勇気」(岸見一郎・古賀史健)を再読する。一度目で大まかな主旨はつかんだつもりでも、二度目だとまた違う味わいかたができる。また、そもそも忘れているところ、ちゃんと読んでいなかったところがたくさんあ…

美しい顔

新宿駅の地下通路で、美人の誉れ高いある若手女優の大きな壁広告を見て、なんという美しい顔だろうと思いつつ、美しい顔に生まれついた人生について少し考えた。 年少の頃から容姿の美しさを賛美され続けた人は、自分の価値は容姿にしかないときっと思いこむ…

絵と会話

人物の絵は、一筆入れるとまるで印象が変わるところが描いていて面白い。風景の絵でも基本は同じなのだが、人物の場合は、それがてきめんで、非常に刺激的だ。 これは、日常会話において、片言隻句でその場の雰囲気が変わってしまうことがあるのに、よく似て…

緩みと腐り

元日産CEOのゴーン氏が、身柄拘束される前に録画したビデオを見た。この事件が発覚した当初は、自分は、かつての配下にゴーン氏は謀略によってはめられた、という印象をもっていたが、昨今の報道を見る限り、どう法的な瑕疵があるのか自分には判然としないが…

巡る花

昭和記念公園 桜の花が咲き始めるころになると、「命短し恋せよ乙女」という歌の一フレーズを思い出す。桜は咲いたそばからすぐ散っていく。その散りざまから「日本人の滅びの美学」なんぞを見出そうとすれば見出せるのかもしれない。確かに桜の花の命は短い…

病者の心

東京オリンピックで金メダルが期待されている水泳選手が、白血病に罹患していることを公表したら、ある大臣が「がっかりした」とコメントし、それに対する糾弾や、擁護の声が交錯している。 おおまかにいって、糾弾するのは反安倍政権、擁護するのは親安倍政…

遊牧民の馬上弓射

名刺交換と美術鑑賞

オーギュスト・ルノアール 仕事の会合で、大勢の出席者と片っ端から名刺交換することがある。そのうちの多くとは名刺交換をしただけの縁でそれっきりになるのだが、相手の人生はそれっきりではないし、当方にしてもおなじことだ。 自分は名刺だけをした人の…

天草四郎の愛国心

観世清和「羽衣」 長崎のキリシタンが天草四郎を頂いて原城に立て籠もり、幕府の包囲軍と戦っていたとき、埒が明かない幕府軍はオランダ軍に海からの砲撃を依頼した。 近代戦争は、終局における大量破壊兵器の使用で決着することが多い。彰義隊の上野戦争に…

ボクシング世界戦

弥生美術館で観たバロン吉元画伯の迫力ある格闘シーンに刺激されて、男の闘うシーンを描いてみた。

薄汚れたリアリズム

Theodor Philipsen あるお笑いタレントが、アイドルに向かって、冗談混じりにいわゆる「枕営業」をすすめるような発言をテレビ番組の中でしたことが物議をかもしている。昨今の社会の空気では、この手の「物議」も大したムーブメントにはならずに、いずれは…

弥生美術館 竹久夢二美術館

弥生美術館 バロン吉元の個展を観る。 絵の魅力は必ずしもモチーフを精確に描くことがから生じるわけではないが、魅了のある実物を精確に描くことは実物の魅力をそのまま写し取ることとほぼ同じなのだから、精確な絵から生じる魅力というものも少なからずあ…

無知蒙昧

たとえ自分の方に理があったとしても、相手の逃げ道を全部塞いで徹底的に追い込むような戦い方をするのは間違いだ。そもそもこういう野蛮な戦い方をするのは人間同士だけで、動物同士のケンカでは「負けた」サインが明確にあり、「勝った」方はそのサインが…

寒空

昭和記念公園 みどりの文化ゾーン 鉛筆でかるくアタリをつけ、あとは薄墨の筆ペンで仕上げる。所要時間一時間ほど。まだ描き込みが足りないが、あまりの寒さに退散する。ただ、これ以上描き込んだところであまり良くはならないだろうとも思う。

木刀

以前はあまりそういう意識なかったのだが、剣道では単純な打突力が思いのほか重要だということに、最近気づいた。 これはボクシングにおいてパンチ力が必要だ、というのと同じで、当たり前といえば当たり前だが、当たる外れるに関係なく、「打突する力」とい…