金剛力士像

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 東大寺南大門の仁王像。こういった多くの人の目に触れてきたモチーフは、表情が皆の目にすっかり焼きいているので、形やニュアンスの狂いがすぐに判ってしまう。本物の仁王様は、この絵より、もっと怒っているし、もっと優しい。さらに激しく深い感情が伝わってくる。

真の仏師になるには、仏道に入る必要があるとはよくいわれていることだが、デッサン力以前に自分にはそれがないので、はじめから上手く描けるはずがない、と思い込んでいるところもある。偏見かもしれないが、キリスト像やマリア像にはつねに「悲哀」という一つの感情しか表現されていないが、仏教のさまざまな像には、喜怒哀楽そして静寂といったさまざまな人間の感情が表現されていて、興味が尽きない。