戦争好きと戦争嫌い

キューバとの国交回復にしても、イランへの制裁解除にしても、中国への示威行動にしても、大風呂敷を拡げただけで結局なにも「変え」られずにここまで来てしまったオバマ氏が、夏休みの終わり間際になって泥縄で宿題を片づけている小学生よろしく、お体裁だけを整えている、と観るのが妥当だと思われ。

外交においてオバマ氏がほんらい徹底的に取り組むべきだった課題は、イラク戦争の後始末だったが、氏はそこから決定的に逃げた。「ブッシュの尻拭いも、戦争継続もまっぴらだ。おれはノーベル平和賞なんだぞ」という心底はわかるが、その心底につけこんだのがイスラム国であることは確かだ。

シリアでも、アサド政権が自国民をサリンで大量虐殺した時もオバマ氏は警告通り一歩踏み出すことができなかった。今シリアはアサド政権とイスラム国はグルになって国土を分け合っているような状態に陥っており、そしてついにアメリカは風前のともしびのシリア反政府勢力を見離した。

ブッシュがめちゃくちゃにし、オバマが逃げ出し、中東は大混乱に陥り、大量の難民が発生している。アメリカの中東戦略は完全に破綻しており、そのメンツを回復するため、せめてアジアでの人気とりをするため、ようするにオバマ氏や政府高官の精神衛生の必要のため、今米軍は南シナ海をうろついている。

核大国である中国とアメリカが戦争をすることはそれこそ「抑止力」が働くのであり得ない。だからこれは、アメリカにとって「哨戒」するだけの外交ショーであり、つまり一種の「軍事パレード」だ。