最後のよすがは「自分」

 定量的なエビデンスがないと物事を信用しない人は、重要な物事ほど多数決で決めてはならないことがわかっていない。例えば、自分の人生を左右するような決断を下すときに、100人にアンケートとってその結果に従おうという人がいるだろうか。

自分の人生を左右するような重要な決断は、本当に信用できるごく限られた人の意見をきき、しかもそれを盲信せず、最後は自分で決めるほかない。誰だってそうしているのだ。

一人の人間にとって、真に重要なのは自分の中にある主観的な気づきや確信であり、自分の外にある客観的な数字ではない。

なお、定量的な指標を過度に信じたがる人の心底には、失敗した時の言い訳を用意しておきたい需要がある。その言い訳は、自分へのものでもあるし、他者へのものでもある。