2016-01-01から1年間の記事一覧

あと11年

子供は親のいうことをきかなければならないが、親に対してわがままになれない子供なんてろくなもんではないし、そういう子供に育てた親もろくなもんではない。そして、まっとうにわがままになれなかった子供は、いつまでも親にべたべた貼りついているものだ…

83歳の地図

操り人形のはずの社長が最近気に喰わないのでクビにしようとしたが、社長の解任は取締役会の専任事項なので渋々それに諮ったら、床の間のお飾りだった創業家、マネキン人形代わりのはずの社外取締役の反対を食らい、面目をまるつぶれにされたので腹立ち紛れ…

新井白石という理想

新井白石の悪貨駆逐を旨とする金融・財政政策は、デフレと経済縮小をもたらし、かくなる賢人も経済は死角だったという評価が大勢を占めているようだ。しかし、貨幣への根本的な信頼が揺らげば国そのものが揺らぐということは、普遍的な真理だと思うし、 金融…

北朝鮮を動かす関係欲求

例えば今をときめくピケティ氏に「あなたの本の内容を一言でいうとなんですか」という質問は「あなたの一生を一言でいうとなんですか」というのと同じぐらい無茶である。「てっとり早くわかりたい」病患者に、真実が姿を見せることはない。なぜなら「てっと…

努力と我慢

「人は女の為にも金銭の為にも自殺することは出来ない。凡そ明瞭な苦痛の為に自殺することはできない。繰り返さざるを得ない名附けようもない無意味な努力の累積から来る単調に堪えられないで死ぬのだ」(小林秀雄)その努力や我慢に意味があるかないか、な…

ショーンK氏の「人間的魅力」について

詐欺師は、もとより高度なコミュニケーション能力と、それに拠る「人間的魅力」が必携の職業的スキルなのだから、「高度なコミュニケーション能力を持っているから悪事や非常識な行動をしても免罪になる」と考えている人がいたとしたら、その人は明らかに思…

「大きな容れ物」について

マザー・テレサ的な人間の偉大さあるいは異様さは、自我や我欲で充満しているのがデフォルトの人間たちの群れに、ひとり空っぽの容器のように存在していたところにある。まるで真空地帯に猛烈に流れ込む空気のように、巨万の人間がその容器に吸い寄せられて…

絶滅危惧種としての言語

先日、新聞に志賀直哉が晩年に書き残した文章が発見されたという記事が載っていた。その文章には、自分が死んだあと片言隻句でも残って入れると嬉しい、あるいは光栄だ、という主旨のこと書いてあったらしい。たしか志賀直哉は、終戦直後、日本語を廃止して…

不要な掟

人間の考えていることなんて、多かれ少なかれ、どうせどこかからの借り物なのだから、人が考えたり書いたりしたことでも、まるで自分が考えたことのように書いたりしゃべったりしても、一向にかまわないのではないか、という気が最近している。 いちいち、「…

言葉と論理

ロジカルシンキングという言葉があるが、真にシリアスなことがらにおいては、生身の人間はロジカルにシンキングなんかしない。シンキングに社会性を持たせるためにロジカルを演じているだけだ。ロジックには、電池と電線がつながり豆電球が点くような力強さ…

マンションについての私見

大手デベロッパーの社員はインテリヤクザそのもの。これはもともとそういう人間が吹きだまった業界というよりも、業界の悪すぎる空気に害された結果と観た方が当っている。仕事で彼らの本性と接触する時期を持ったおかげで自分はマンションは借りるもので買…

すぐにでもできることはある

アクセルとブレーキを踏み間違える事故は、両方を右足で操作させることに原因の過半がある。これは左足でクラッチ操作をしていた時の名残だが、ほとんどのクルマがオートマになっている今、両方を右足でさせる意味は殆どないと思う。自動ブレーキ性能の向上…

「受験票に答えがあった」事件から試験の公平性を考える。

まずは事件の顛末から。 ============================= 山口大学が実施した一般入試の国語の設問で、受験票を見れば答えがわかってしまうものがあり、同大はこの設問について受験生全員を正解扱いにすることを決めた。設問は…

学校プール水ダダ漏れ事件で「組織と個人」を考える

まずは、事件の顛末。=========================== 千葉市中央区の市立小学校が昨年夏、プールの給水口の栓を閉め忘れ、水を大量に流失させるミスを起こした問題で、市教委は22日、県水道局から請求された水道料金約438万円を該…

地獄の業火と慈悲の灯火

夏目漱石の「心」に出てくる「先生」が先生であるゆえんは、悩みを克服したのではなく、現在進行形で苦悩していた人だというところにある。おそらく実在のブッダも、伝説のような解脱した人ではなく、今まさに悩んでいる人であり、だからこそ身分の上下を問…

温かい逃げ場

出張先の最寄り駅のバス停で、バスが来るまでベンチに座って待つことにした。そのベンチは大人三人が座れる長さがあり、真ん中に三歳ぐらいの男の子が、その隣に母親が座っていた。自分は空いている右端に腰をおろしたが、その直後に、男の子は立ち上がり、…

厭戦の閾値

佐藤優氏によると、戦争が終結するのは当事国間で累積する戦死者による厭戦気分が閾値を超えたときらしいが、その段でいうと、無人兵器が使われる戦争は、どちらか一方が完全に死滅するまで終わらないということになる。動物同士の闘争は、一方が完全に優位…

「起きてはならないこと」が起きたとき

日本軍の兵隊は、局地戦で敗北しいったん捕虜になれば、敵国の尋問に対して軍事機密であろうが何だろうがお構いなしにしゃべり、友軍を窮地に追い込んだが、米軍の兵隊は捕虜になっても容易に口を割らなかったという。誰しもがそうだったというわけではなく…

プロセスという滋養

「失敗の本質」という本がある。これは戦前戦中の日本の戦争指導者の「失敗」を検証することによって、次世代が同じ失敗を繰り返さないことを期して作られた本だと理解しているが、この本が結論づけるところの「失敗の本質」は、煎じつめると「現実を直視せ…

「常識」に甘えない

日比谷文化図書館に、装丁家の祖父江慎の企画展にいく。 そこには、意図的な乱丁や、わざと不規則に断裁された本があり、たしかにこれはこれで面白いのではあるが、こういう作品が成立する前提として、「世に出回っている書籍のほとんど全てが細心の注意をも…

歴史の射程距離

「賢者は歴史に学ぶ」というが、歴史の教訓というのは往々にしてどこかで聞いたような陳腐な結論であることが多く、大抵、ものの役に立たない。おそらく歴史とは、結果から学ぶものではなく過程を味わうものなのだ。NHKに「ファミリー・ヒストリー」という有…

アベノミクス終わりの終わり

政権唯一の足場だった株高がこうも揺らいでいる状況について、情緒的は反発以外の何も実のあるコメントができないのをみると「実は安倍晋三は経済がまったくわかっていない」という「トンデモ説」が事実なのでは、と思えてくる。安倍氏はさきごろの施政方針…

うろうろした足あと

久しぶりに小林秀雄の「私の人生観」を読み返し、今さらながら、卓見や名言がぎっしりつまっていることにびっくりするが、そもそも、人間は、こんなに卓見や名言を連発できるものなのだろうか。この現象の正体は、その実、同じことを手を変え品を変え繰り返…

受け容れるべきは「少産少死」

太古から人間社会は「多産多死」が通常だったが、近代に至り医学が一定の進歩を見せてから「多産少死」になった。これが続くと人口爆発になるから、自然の調整弁が働いて「少産少死」へと傾くようになる。現在日本のような先進国の多くの夫婦やカップルの子…

合気道について

合気道は、他者と息を合わせて行う体術という意味では、プロレスに近い。さらに、人生とは弱肉強食の「総合格闘技」ではなく、他者とお約束の中で共演するプロレスに近いと観れば、武道の中では合気道こそ最も人生の本質に近づいた修業をしていると言えるだ…

通学路

毎朝、自分は通学路の途中まで子供と一緒に歩く。子供は道すがら友達に会うと、たちまち自分から離れ、友達と合流し、さっさと行ってしまう。これは自分にとって、さびしいことでもあるし、うれしいことでもある。子供には、少数でもいいから、確かな人間関…

娑婆と修羅場

北朝鮮による拉致被害者である蓮池薫さんの兄、透さんが書いた「拉致被害者たちを見殺しにした安倍晋三と冷血な面々」を立ち読みする。小泉首相が二度目の北朝鮮訪問から帰国し、拉致被害者の家族と対面したとき、家族会のうち数人が小泉氏を手ひどくなじり…

サウジとイランが国交断絶(2015年1月4日)

サウジとイランは、すでにシリアとイエメンで代理戦争中だが、両国が本格的に戦争状態になると、イスラム世界は、本格的なシーア派とスンニ派の宗教戦争の様相を呈してくる。 アメリカとイランとは核合意で融和中で、さらにイラクではイスラム国相手に共闘し…

権利と権力

人間が他者や社会と健全なコミュニケーションをするには、適度な権力(自分の意思通りに他人を動かす力)を持つ必要がある。それが過少でも、過大でも、精神の均衡は崩れる。権力を過大に持つことの陥穽は歴史上多くの実例があるから論ずるには及ばないが、…