サウジとイランが国交断絶(2015年1月4日)

 サウジとイランは、すでにシリアとイエメンで代理戦争中だが、両国が本格的に戦争状態になると、イスラム世界は、本格的なシーア派スンニ派宗教戦争の様相を呈してくる。

アメリカとイランとは核合意で融和中で、さらにイラクではイスラム国相手に共闘している。一方アメリカとサウジは継続的な親交国である。つまりアメリカは、現段階ではどちらにも肩入れすることができない。

イスラム国の究極の狙いは西欧文明への反逆というよりシーア派の壊滅であるとも言われ、もしそれが真実ならば、シーア派のイランとスンニ派のサウジが戦争状態になると、イスラム国はサウジ側につく可能性がある。

さらに、バーレーンもイランとの国交断絶にふみきった。この流れで行くと、親アメリカのスンニ派世俗諸国(カタールクウェートUAE・ヨルダン)は根こそぎイランと敵対することになる。そうなると、アメリカは究極の選択でこちら側の肩を持たざるをえなる可能性があり、イランとの融和も怪しくなってくる。

イランとサウジの対立は、シーア派スンニ派の対立であると同時に、「ペルシャ」と「アラブ」の頂上対立でもある。 この歴とした国家である両者の対立において極めて恐ろしいことは、両者が実質的な核保有国になりかかっているところだ。

テロの犠牲者はぜいぜい百人単位だが、核兵器の犠牲者は万人単位、文字通りケタ違いである。この「実質的な核保有国」どうしの対立は、かつての米ソのような「抑止力」による「冷戦」で均衡するのだろうか。自分にはなんだかそうは思えないのだが。