努力と我慢

「人は女の為にも金銭の為にも自殺することは出来ない。凡そ明瞭な苦痛の為に自殺することはできない。繰り返さざるを得ない名附けようもない無意味な努力の累積から来る単調に堪えられないで死ぬのだ」(小林秀雄

その努力や我慢に意味があるかないか、などは中々わかるものではないが、成果の出ない努力や報われない我慢をし続けていると、突然、限界点が決壊するような瞬間が来るのだろう。おそらく人間が自殺するのはその刹那だ。

努力や我慢は、人間が何事かを成就させるのに重要な要素だが、それが過度になると一転してこちらに対して牙を向けるようになる。しかしどのへんまでが適度で、どこから過度になるかなんて、これもなかなか理性で了解できるものではない。

一つだけ言えることは、生きる意味や悦びを見失うまで努力や我慢を重ねてはいけないということだけだ。生き物としての人間は「弱い」のがデフォルトであり、それは体においても心においてもいえることなのだから。