ショーンK氏の「人間的魅力」について

 詐欺師は、もとより高度なコミュニケーション能力と、それに拠る「人間的魅力」が必携の職業的スキルなのだから、「高度なコミュニケーション能力を持っているから悪事や非常識な行動をしても免罪になる」と考えている人がいたとしたら、その人は明らかに思い違いをしている。

人生を切り開く要諦は実は自分が参加しているその「場」を制圧すること、象徴的な書き方をすれば、「半径3メートル以内にいる人間を魅了すること」であり、これは詐欺師必携のテクニックとぴったり符合する。伝え聞くショーン氏の来し方を見ると、彼はほとんど天才肌の詐欺師だったと言っていいと思う。

遠巻きに見ている人からは胡散臭さの塊にしかみえなくても、近づいた人をたちまち魅了してしまうという意味においては、K氏は、連続殺人犯の結婚詐欺師・木嶋佳苗に似ているところがある。

「自分はショーンKさんと番組でご一緒したが、あの方のトークや人間的な魅力は本物だし、いつか必ず復帰して欲しい」みたいなコメントを読むと、「木嶋さんの女性としての魅力は本物だし、自分に恋愛の悦びを教えてくれて感謝している。一刻も早く監獄から出てきてほしい」と被害者が骨壺の中からつぶやいているのに似た、なんとも言いようがない気色悪さを感じる。

キワモノはキワモノらしく、社会のキワで地味に人を騙してよすぎをしていればよかったのに、なまじ表舞台に出ようとするから、マスコミのいい餌食になる。まるで太陽に近づきすぎて翼がとけて落下したイカロスのような、といえば、その顛末を美化しすぎだろうか。

ひょっとすると文春はショーン氏のウソだらけの経歴をとっくの昔に把握していたが、「もう少し太らせて、食べごろになってから」と、タイミングを計っていただけなのかもしれない。