合気道について

 合気道は、他者と息を合わせて行う体術という意味では、プロレスに近い。さらに、人生とは弱肉強食の「総合格闘技」ではなく、他者とお約束の中で共演するプロレスに近いと観れば、武道の中では合気道こそ最も人生の本質に近づいた修業をしていると言えるだろう。反面、真の「和合」は命を削り合うような本物の闘争の最中に、もっとも先鋭的な形で、奇跡的な風韻を帯びて現れるようなイメージもあり、その段で考えると、合気道は、その目指している到達点は正しいが、あまりに性急にそこにアクセスしようとしすぎている観もあり、そのショートカットがうまくいかない場合、ぬぐいがたい「いかがわしさ」(ある種の新興宗教のような)が表出することもある。