厭戦の閾値

 佐藤優氏によると、戦争が終結するのは当事国間で累積する戦死者による厭戦気分が閾値を超えたときらしいが、その段でいうと、無人兵器が使われる戦争は、どちらか一方が完全に死滅するまで終わらないということになる。

動物同士の闘争は、一方が完全に優位に立った時に終結するが、戦時の人間は優位に立ったのを端緒として、敵国を徹底的に叩きのめす。これは動物と違い、人間は道具を使って戦うので、相手にダメージを与えた時の反作用が少ないせいだと言われる。

無人兵器は、攻撃を加えた時の反作用が極小化されるので(それでも攻撃者に心的なダメージはあるらしいが)、戦いが終わるキッカケがない。「自国兵士の命を衛る」という意味では「人道的」とも観える無人兵器だが、トータルで見て、こんなに残酷で恐ろしい兵器もない。