2016-03-12から1日間の記事一覧

「大きな容れ物」について

マザー・テレサ的な人間の偉大さあるいは異様さは、自我や我欲で充満しているのがデフォルトの人間たちの群れに、ひとり空っぽの容器のように存在していたところにある。まるで真空地帯に猛烈に流れ込む空気のように、巨万の人間がその容器に吸い寄せられて…

絶滅危惧種としての言語

先日、新聞に志賀直哉が晩年に書き残した文章が発見されたという記事が載っていた。その文章には、自分が死んだあと片言隻句でも残って入れると嬉しい、あるいは光栄だ、という主旨のこと書いてあったらしい。たしか志賀直哉は、終戦直後、日本語を廃止して…

不要な掟

人間の考えていることなんて、多かれ少なかれ、どうせどこかからの借り物なのだから、人が考えたり書いたりしたことでも、まるで自分が考えたことのように書いたりしゃべったりしても、一向にかまわないのではないか、という気が最近している。 いちいち、「…