あと11年

 子供は親のいうことをきかなければならないが、親に対してわがままになれない子供なんてろくなもんではないし、そういう子供に育てた親もろくなもんではない。そして、まっとうにわがままになれなかった子供は、いつまでも親にべたべた貼りついているものだ。

子供の自立は、際限なく与えられる親の愛情に飽き飽きすることによって達成される。だから、いつまでも子供と一緒にいたければ、親は愛情を出し惜しみすればいい。そうすれば子供は親が老いて死ぬまでまとわりついて離れないだろう。

以前自分は9歳の子供に、はたちになるまではいろいろ口うるさくいうけれど、はたちになったらなにもいわない、自分のことはなんでも自分で決めていい、どうとでも好きなように生きていけ、といったことがあった。

そしたらあるとき、こんな手紙をもらった。

パパへ

いつもお仕事してくれてありがとう。
あと約11年よろしくお願いします。
(後略)

11年か。もう少し長くてもいいけれど。