新型コロナウイルス禍

 ひどい状況だし、ひどくなり続けるだろうが、爆弾が空から降ってきたり、殺し合いにかり出される本物の戦争よりは、比べ物にならないぐらいマシなのだ。これをきっかけに戦争にでもならない限り。

ただ、国家間の戦争は起こりにくいかもしれないが、テロリストにとっては、こんな絶好の機会はないかもしれない。「大勢の人が集まっているところを爆破」という従来の手口は使えなくても、サイバー空間や、水道や発電所生産現場や物流網を直撃すれば、国家はパニックになる。

こういう時代に、最新鋭の戦闘機だの、イージスアショアだの、迎撃システムだのに国家資源をつぎ込む旧態然とした国防スキームが、いかに的外れなものかがはっきりするような事態には、絶対にならないでほしい。

もう一つ、悪い状況を想定すると、このタイミングで地震や台風などの自然災害に襲われることだ。避難所のような「三密」を絵に描いたようなシチュエーションが至る所にできれば、そこが簡単に「クラスター」になる。物資の支援だけでなく、すでに手いっぱいの医療は、そこの手を差し伸べることはできないだろう。

先に感染爆発を起こしている外国のケースを嫌というほど見せつけられても、なお何もできない日本政府が、こういう状況下で突如快刀乱麻の知恵者に変貌することなど、万に一つも期待できない。今後も、頭に血が上ったまま、次々と冷酷で間抜けな政策判断を連発するに違いない。

国や、社会や、会社など、いままで自分を包んでくれた「大きなもの」には、これからは期待できない。頭のどこかで期待してもいいのかもしれないが、すくなくとも頼ってはいけないし、頼るのは危険でもある。

たとえば自営業者ならば、いくら誰かがなんらかの権能を振りかざして「営業を自粛しろ」と言われても、従順になることにメリット(相応の補償など)がないのなら、それを無視して通常営業を続けるのも一つの判断だと思う。