2013-03-02から1日間の記事一覧

ハイデガーと庄野潤三

哲学者の木田元は、満州に生まれ、海軍兵学校で終戦を迎え、戦後は闇米屋をしていた。そういった前半生の乱脈ぶりから、東北大学入学から始まる後半生の学究人生への転換は一見奇矯な印象も受けるが、乱脈的実生活から生じた普遍性的思想への希求という文脈…

滅びの予感

井上靖の「大洗の月」という短編は、なんとなく人生に絶望している男が月見に行くという話だが、その主人公は、その絶望感を「間歇的に自分に訪れる滅びの予感」と表現する。「滅びの予感」とはいい言葉だな、と思ったのは、ここ数年、自分が常日頃抱いてい…

くみとり便所の思い出

かなり以前の話になるが、北朝鮮政府が国民に対して一人当たり年間2トンの糞尿を国家に拠出するように義務づけているという報道を見聞きした覚えがある。 糞尿は言うまでもなく田畑の肥やしにするためである。肥溜めがそこかしこにあったかつての日本の里山…

運命

この曲を聞くたびに深く感動する。しかし、自分がいったい何に感動しているのかがさっぱりわからない。雄大さ、緻密さ、そんな言葉では形容できない、なにか圧倒的なものにとりこまれて、感動せざるをえないのだひょっとすると人間の心の底には、言葉もなく…