カフェの長テーブル

仕事帰りに寄ったあるカフェにて。

特定の人を集中的に描くと気づかれやすいので、ひとつひとつ細部には拘泥しないように気を付けて、群像で描いてみた。

それでもあまり実物をじろじろ見ることは気が引けるので、対象の観察が甘くなり、その分、手癖に頼って線が硬くなっている。

実際の長テーブルはかなり広くそして長く、絵で描いたように人々がひしめき合って座っている感じではない。要するにテーブルのサイズに比べて人物が大きすぎるのだ。

しかし、自分の見た感じで、それぞれの人物の存在感が強く感じられたから、いきおい描くサイズがその印象を反映し、ご覧の通りの仕上がりになってしまった。もう少し理性を働かせて、遠近法を厳密にして、遠くの人を小さく描けば、リアル感が自然に増したと思う。

それにしても、ゴッホの描く風景画は遠近法もパースも微妙に、場合によっては甚だしくズレているが、絵画が醸し出す魅力はその誤差にまったく損なわれないどころか、かえって弥増しているのはどうしたことか。

ゴッホのような現象を見ると、パースや遠近法などあまり気にしなくても実はいいのではないか、という気もするが、奇人や天才は、その能力ゆえにエキセントリックな振る舞いもときに受容されることもあるが、凡人が世過ぎするには一定の礼儀作法が必要なのに似ているとも思われ、自分は今回の反省を素直に次回に活かしたいと思う。

所要時間は約一時間。描き始めにはいたが、描き終わりには立ち去っていた人が三人。