国家の断末魔

オバマ氏は「黒いサル」 北朝鮮が常軌逸した差別表現の論文 米は憤慨
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140509/kor14050908450002-n1.htm

 日本がその昔「鬼畜米英」を国を挙げて叫んでいたころの国情を思わせる。かの国の戦時(非常時)感覚も頂点に達した観があり、これはとても危険な兆候だと思う。

北朝鮮がここまで米国に悪態をつくわけは、国家体制の保持のための経済的・政治的援助を米国に求めながらそれがなかなか果たされないからだ。この心理(あるいは病理)は、ひきこもりの子供が、保護者であるところの親に暴力を振るったり、面罵したりする構図に似ている。

そういえば先ごろ、かの国で、トップの後見役だったナンバー2の老人が粛清されたが、あれも一種の「ひきこもりの息子による家庭内暴力」であると見えなくもない。

被保護者(子ども)が保護者(親)に向かって、うまく保護してくれないことをなじるのは「甘えの構造」そのものだ。「甘えの挫折ないし葛藤は種々の精神的障害を引き起こす。」ことを土居健朗は説いたが、北朝鮮はまさにこの状態にあると見て(診て?)いいのではないか。

志賀直哉の「和解」や「暗夜行路」は、この「甘えの構造」を文学化したものだ。父親の経済的な庇護をたっぷり受けて育ちながら、主人公は「うまく甘えさせてくれない」父親に反発し心を衰弱させる。図式にしてみれば単純だが、この構図は親子関係だけでなく、対会社、対社会、対国家にも援用できる。


結局なにが言いたいのかというと、北朝鮮はひとつの意識体としてみても、もはや回復不能なまでに深く病みそして衰えているということだ。そういう相手には、単純に「怒りを表明」したり「圧力」をかけたりする以外のなんらかの賢明な対応をする必要がある。それはきっと、政治的・経済的対応ではなく病理学的なそれになるだろうが、具体的にどうすればいいのか、自分にもわからない。