言葉のエネルギー保存の法則

自分はもともと他者に対してとても辛辣で狭量な人間で、気に入らない人間やソリが合わない言動を目にすると、相手を罵倒する不穏当な言葉が頭の中でずらりと並ぶ。

並んだ言葉はそのまま表に出すと相手との関係が決定的に崩壊するから、自分はその言葉たちを頭の中から即座に消し去るのだが、しかしその消去されたはずの言葉が、ぜんぜん別のシーンで、あるいは別な人に対して、そのまま噴出することがある。

言葉はひとたび発せられると一つのエネルギー体になって世の中を浮遊し作用を与え続けるという思想があるが、発せられなかった言葉も同じように、ひとたび生まれた以上確固たる存在を持ち、どこかしらに留まり続けるものなのかもしれず、ひょっとすると言葉にも「エネルギー保存の法則」がある程度当てはまるようにも思える。